多くの林業従事者が刈払機に求めるものはパワーではないだろうか? しかし、作業の効率化を進めるために、より自身にマッチした刈払機を探してみてはどうだろう。今回は草刈りのプロに、お悩み別の対策方法とオススメ製品を伺った。
過酷な作業「下刈り」は、
機能性の高い刈払機で対策を
持続可能な森林づくりにおいて必要不可欠でありながら、林業における最も過酷な作業ともいわれ、新規就業者の多くが脱落する作業、「下刈り」。急斜面・炎天下での過酷な作業は、人材不足などとも相まって、効率化が大きな課題となっている。
ドローンやスマート林業機械の導入や冬期の下刈りへの移行など、各地で様々な取り組みが行われているが、すぐに取り入れられる解決策としては、やはり機能性の高い刈払機の導入だ。
そんななか、多くの林業従事者が刈払機に求めるもの……それはパワーではないだろうか? 基本的に林業従事者は、刈払機を下草刈で使用する。そこで優先されるのは、確かにパワーだ。
しかし、作業の効率化を進めるために、より自身にマッチした刈払機を探してみてはどうだろう? 林業従事者の隠れたニーズに応えるべく豊富な刈払機のラインナップを誇るのが、ドイツ発のブランドSTIHLである。
林業従事者なら誰もが知る高性能かつ高品質なチェンソーは高く評価され、その販売台数は世界No.1を誇っているが、同社の刈払機もまた、チェンソーに負けず劣らず要注目なのだ。
用途に応じた選び方は?
悩み別オススメ刈払機はコレ!
ここからは、Q&A方式。STIHL製品を知り尽くす、同社プロダクトマネージャーの相信武司さんに、林業従事者の方からよく聞かれる質問に答えて頂いた。
太い草をストレス無く刈りたい
Q:とにかくパワーが欲しい! バンバン刈ることができるハイパワーが自慢の刈払機はどれですか?
A:強い草が多い山林では、30 cc以上の『FS 120』や『FS 250』がおススメです。パワーがあるだけでなく価格もお手頃です。通常の草刈り作業はもちろん太い草でもパワフルに刈ることができるので、作業効率が格段に上がりますよ。
また、作業時にアドバンスハーネスを使用してはいかがでしょうか? 『FS 120』や『FS 250』であればパワフルに作業が行えるのですが、アドバンススハーネスは刈払機の重量を分散させ作業時の身体への負担を軽減してくれます。
よく聞かれるのが、上記のように「下草刈の作業をハイパワーモデルでラクに行いたい」というニーズであるそうだ。太い草が混じる場所での作業が多いのであれば、パワー重視で刈払機のセレクトを行うと良いだろう。
ハイパワータイプの刈払機をお探しの方にはコレ!
疲れにくいモデルが欲しい
Q:柔らかい草が多い地域で働いています。年齢のためか、作業していると肩に負担がかかり、疲れてしまいます。林業で使える軽量モデルを紹介してください。
A:『FS 26 C』がおススメです。エンジン始動もしやすく、同排気量帯ではパワフルなモデルです。人間工学設計がされたバイクハンドル形状ですので作業が楽になるはずです。エンジンの調子が良いと大変好評なモデルです。
この『FS 26 C』が重量は4.5
kg~と軽く、そのうえSTIHL得意の人間工学設計を採用しているので、とにかく疲れにくい。しかも、エンジン式に苦手意識を持たれている方からよく耳にする「エンジン掛かけられない問題」をも軽減できる。エンジン始動がうまく行かないと、作業が遅れるだけでなく、下刈り前から疲れてしまい、モチベーションも下がってしまう。
しかし、ここで相信さんが紹介してくれた『FS 26 C』はエンジンを掛けやすくする「エルゴスタート」という機構を搭載している。これもまた『FS 26 C』をおススメする理由だ。
エンジン式で軽量タイプをお探しの方にはコレ!
細い木々にも対応できるモデルが欲しい
Q:細い木が多く植生している山林の作業で使います。おススメの刈払機はありますか?
A:価格を重視されるのであれば既にご紹介した『FS 250』を、機能を重視されるのであれば、『FS 240』と『FS
311』がおススメです。いずれも普通の人が「刈払機で行けるかな?」と感じる直径7
cmくらいの太さの雑木を刈ることができる、十分なパワーがあります。低木や小径木に対応するカッティングアタッチメントをラインナップしていますので、ご利用ください。
『FS 240』は、未燃焼ガスの排出を抑えるうえ、既存2サイクルエンジンと比べて燃料消費量も削減する「STIHL 2-MIX エンジン」を搭載している。
『FS 311』は、4サイクルエンジンと2サイクルエンジンの長所を組み合わせた、混合潤滑方式の4サイクルエンジン「STIHL 4-MIX®︎エンジン」を搭載。4サイクルエンジンでありながら、2サイクルエンジンと同じ、ガソリンとオイルの混合燃料により稼働する、高トルク・ハイパワーの未来志向型エンジンである。低燃費で低騒音、有害排出ガスも大きく削減している。また、4サイクルエンジンらしからぬ軽量化も果たしている。
作業効率化を目指すならば、こうした高機能モデルを選ぶのも、一つの選択肢となるだろう。また、こうした高機能モデルは環境への負荷が低いので、持続可能な林業に寄与することにも繋がる。この付加価値もまた、両モデルの魅力である。
機能性重視の方はコレ!
冬場にアイシングしにくいモデルがほしい
Q:冬場でも下草刈りをするのですが、アイシングをしてしまってエンジンがかかりにくいことが多々あります。何か解決策はありますか?
A:STIHLでは、アイシングを防ぐために、冬季用シャッターという機構を搭載したモデルをラインナップしています。それが先程もご紹介した高機能モデル『FS 240』です。
このシャッターを冬季作業モードに変更すると、エンジンを通った暖かい空気をキャブレターへ送る通路ができます。この暖かい空気により氷結を防止する、というものです。これなら冬季でもストレスなく作業を行うことができますよ。
冬季に、吸入した空気に含まれる水蒸気がキャブレターのスロットルシャッターやベンチュリーで氷結してしまう現象が、アイシングである。自動車でも、キャブレターが使われた時代には、アイシングが発生してエンジンが掛かり難かったものだ。
アイシングにも対応するモデルや機器を活用することで、確実に作業効率が向上する。こうしたモデルを活用して欲しい。
アイシングでお悩みの方はコレ!
クマザサを刈るのが面倒!
Q:クマザサが多い現場に入ることがあります。これが面倒で困っています。良いモデルはありませんか?
A:クマザサ……確かにやっかいな相手ですが、もちろん解決策はあります。先程ご紹介した『FS 311』に『シュレッダーナイフセット(シュレッダーナイフと専用保護カバーのセット)』を取り付けて作業を行うと良いでしょう。この『シュレッダーナイフセット』は『FS 311』のための専用品ですが、クマザサを細かく砕くことができるのです。叩くように作業を行うことで細粉することができます。
シュレッダーナイフセット(『FS 311』専用品)
林業ではパワーが第一とはいえ、「もっとこうだったら作業しやすいのに……」というもどかしさは誰にでもあるだろう。自分が普段どんなことに困っているのかを知っていれば、STIHLの豊富な刈払機ラインナップから必ずマッチする刈払機を見つけることができるはずだ。
是非、今までの下刈り作業を見直して、自分にとって理想的な刈払機を探してみて欲しい。