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ナイロンコードのあれこれ

現在、STIHL ではたくさんの刈払機をラインナップしています。
それと同時に、いわゆる刈り刃=カッティングアタッチメントも多数販売しています。

今回は、カジュアル機からプロ機まで、さまざまな種類をラインナップしているナイロンコードについてのお話です。

ナイロンコードとは?

ナイロンコードの特徴

ナイロンコードは、チップソー等の金属刃と違い鋭利な刃で草を切るのではなく、ナイロンコードを回すスピードの勢いで草を刈ります。そのため、イメージとしては「叩き切る」と表現した方が良いでしょうか。

切れ味の鋭さは金属刃に劣る反面、直接的な刃物ではないので、仮に人体に当たっても(もちろん痛いのは同じですが)大きな怪我には至らない、というメリットがあります。
こういった理由から、STIHL では特にカジュアル機でナイロンコードを採用しています。

ナイロンコードを快適に使うために

ナイロンコードは使用中に破断してしまうため、あらかじめアタッチメントに内蔵したコードを定期的に引き出す必要があります。

引き出す方法として、
・タップ式:アタッチメントを回転中に地面に叩きつけ、遠心力でコードを引き出す。
・自動式:コードの伸び具合を任意に設定できる。
があります。

その他にも、あらかじめ適当な長さに切っておいたナイロンコードを取り付ける方式のものがあります。

ナイロンコードの形状による違い

複数あるナイロンコードですが、形状によって下記のような特徴があります。

・●(丸コード)
汎用性が高く、さまざまな草刈り作業に適した形状。ほつれや融着に対して耐性があります。

・●+スパイラル溝(丸コード静音タイプ)
汎用性の高い丸形に、風切り音を低減するスパイラル加工が施されたもの。
通常の丸コードよりも静粛性に優れるため、バッテリー刈払機におすすめです。

・■(角コード)
エッジ部分での切削性能が期待できる形状。
丸コードよりも密生した雑草の草刈りに有効です。

・五角コード
角コード同様、エッジ部分での切削性能が期待できます。
角コードよりも丸コードに近い形状であることから、角コードの切れ味を持ちながらも汎用性が高いのが特徴。

・CF3 Pro
心材にカーボンファイバーを含んだ素材を使用し、三層構造とする事で耐久性と安定性を向上。
X形の成形に、さらにねじれを加えることで、優れた草刈り性能を持ちます。

・Duro
柔軟なコア素材に硬質コーティングされた切れ刃を持つ構造により、より高い切削性能と耐久性を持ちます。

各形状とも、ナイロンコード直径がφ1.6mm~φ3.0mmと幅広く展開しています。

※Duroカットのみ、L(φ2.0mm)/XL(φ3.0mm)/XXL(φ4.0mm)の3種類を設定。

ナイロンコードの選び方

手持ちの刈払機と、実際の作業に見合った形状/太さのナイロンコードを選択して使用することで、効率良く作業できます。

下記は、作業内容ごとのおすすめの組み合わせの一例です。

一般戸建ての庭や公園といった、「あらかじめ整地されている場所の草刈り」

→バッテリー刈払機+丸コード/丸コード静音タイプ/五角コードのナイロンコード、~φ2.4mm程度まで。

一般家庭や公共の公園、病院や学校など、騒音に対してセンシティブな環境ではバッテリー刈払機+静音タイプのナイロンコードの組み合わせがおすすめです。
ちなみに欧米では、最近「公共の公園の整備にエンジンツールの使用はNG!」なんてアナウンスを出したところもあるそうです。

田畑の畔等、「整地はしてあるが、密度の高い草刈りが必要な場所」

→軽量エンジン刈払機+角コード/CF3 Proのナイロンコード。~φ2.7mm程度まで。

田畑では時折、背が高く密集した「ちょっと手強そうな」雑草が生えていることがあると思います。
こういったときは、そこそこパワーのある軽量エンジン刈払機に、切れ味も期待できる角コードのナイロンコードや、耐久性の高いCF3 Proなどがおすすめです。

山林の下草刈等、「密度が高く、太い植生の草刈り」

→ハイパワーエンジン刈払機+CF3 Pro/Duroカット。~φ3.0mmまで。

山林の下草刈りなど、普段あまり人の手が入ることがなく、好き放題に伸びている雑草を相手にするのなら、ハイパワーな刈払機+Duroカットなど、より切れ味の良い組み合わせがおすすめです。

最近では、バッテリー刈払機でもハイパワーエンジン刈払機に劣らない性能を持つモデルもあるので、上記はあくまでも参考です。

お手持ちの刈払機と、実際に作業する場所の植生を見て、より最適な組み合わせを選択していただければと思います。

ナイロンコードは伸ばし過ぎに注意

伸ばし過ぎるとエンジンやモーターに負荷がかかる

ナイロンコードは、伸ばし過ぎるとそれ自体が抵抗となりエンジンやモーターに過大な負担がかかるため、それぞれの製品に「適切な長さと太さ」があります。

小排気量のエンジンや比較的小型のモーターが採用されているモデルでは細いナイロンコードを、大排気量モデルや高出力モーター採用のモデルでは太いナイロンコードが使用できますが、意外にもその作業直径は概ね30~40cm程度までに限定されます。

比較的大型のオートカット36-2でも、片側12cm/本体直径と合わせて最大直径40cmなので、これを明らかに超える場合は「伸ばし過ぎ!」と言えます。

抵抗が増加する

ナイロンコードの伸ばし過ぎは、抵抗の増加=回転数の減少を招きます。

結果として作業効率が低下し、さらに機械側の過大な負担となるため、場合によってはエンジンのみならずクラッチ等の駆動系の故障の原因にもなりえます。
やはり、規定の長さで使うことが重要です。

溶着不具合の原因にも

伸ばし過ぎたことでナイロンコードに異常な振動が発生し、アタッチメント内部でのナイロンコード同士の振動摩擦による溶着不具合の原因となる事例も報告されています。
やはり適切な長さに調整することは、非常に重要と言えます。

ブッシュ等の密度に対して、細く弱いナイロンコードを使用したときにも同様の不具合が発生するという報告もあります。「作業に適切な器具の選定」は、ここでも重要な要素と言えます。