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チェンソーのシーズンインメンテナンス

刈払機のシーズンも終わり、次はいよいよチェンソーのシーズンですね。
今回は、しばらくお休みしていたチェンソーの使用開始前メンテナンスについて、いくつか注意点をおさらいしてみましょう。

やっぱり、まずは清掃から

保管中の汚れ

保管している間に、埃等の汚れや、保管場所によってはクモの巣が付いているかも知れません。まずは表面の汚れをキレイに清掃しましょう。
清掃の過程で、例えば燃料の漏れや滲みを確認する事があるかも知れません。漏れているものが燃料なのかチェンオイルなのか、しっかり確認しましょう。

 

エアフィルターの確認

保管前に清掃、交換したエアフィルターも、ここであらためてチェックしましょう。
場合によっては、ここにも小さい虫がいるかも知れません。エアフィルターや、取り外したシュラウドの内側等も、キレイに清掃して下さい。

 

チェンオイル

チェンオイルは入れっぱなしで保管するケースがありますが、その場合、保管中にチェンオイルが漏れてしまう事があります。
まずはチェンオイルが漏れている場所を探しましょう。本来チェンオイルが出てくる吐出口からの漏れであれば、機械の異常ではありません。保管中の気温の寒暖差によって、チェンオイルそのものが膨張-収縮する事で、吐出口に押し出されて来ているだけです。
もし、吐出口以外の場所から漏れているようであれば、修理をしましょう。
チェンオイルによっては、保管中にオイルが酸化、変質してドロドロになっている事があります。
タンク内の古いチェンオイルは全て抜き取り、漏れたチェンオイルもキレイに拭き取りましょう。

 

混合燃料

長期保管中、燃料はキレイに抜いてあると思います。
「燃料、入れっぱなしだった!」という方は、まずは古い燃料はキッチリ抜いて、新しい燃料に入れ替えてください。
古い燃料はエンジンが始動しないなどのトラブルの原因となります。
新しい燃料に入れ替えた後、プライミングポンプの付いているモデルの場合、始動前にポンプを多めに操作して、燃料を循環させて下さい。ちょっとした汚れや詰まりなら、これでも解消出来るはずです。
プライミングポンプの付いていないモデルの場合は、チョーク位置で始動操作をするしかありませんが、残存する古い燃料の影響で初爆までに時間がかかったり、初爆せずにカブッてしまうことがあります。
たとえカブってしまったとしても、「エンジンをかけるために必要な手順」と考えて、スパークプラグを外して付着した燃料を拭き取ったり、エンジン内に吸い込んでしまった燃料を抜いたりといった作業で解消しましょう。

 

エンジン始動

新しいガソリンで作った混合燃料を給油して、通常通り始動操作を行います。
クランクシャフトベアリング等、エンジン内の各部に油分が行きわたるように、始動直後は少しアイドリングさせておく事をお勧めします。
エンジン内部、例えばシリンダー壁面等に付着したエンジンオイル成分は、長期保管の間に流れ落ちてしまう事があります。
油膜切れを起こしやすい状態になっている可能性がありますので、数秒で構いません、油分がエンジン全体に行き渡るまで、アイドリングで待ってあげましょう。

 

ガイドバーとソーチェンの確認

ガイドバーやソーチェンも、動きに異常が無いか確認しましょう。
ガイドバーは先端のスプロケットがちゃんと回るか、レール(溝)にゴミは溜まっていないか、錆や曲がりが無いか、確認しましょう。
ソーチェンは、リンクが固着していないか、破損は無いか確認しましょう。
ガイドバー、ソーチェンに異常が無ければ、チェンソーに組み付けて試運転します。チェンオイルがきちんと吐出する事を確認しましょう。
具体的には、エンジン始動後ブレーキを解除してスロットルをゆっくり開け、地面に敷いた段ボール等に向かってソーチェンを走らせます。
地面に敷いた段ボールに、チェンオイルの飛んだ痕が確認出来ればOKです。

 

チェンブレーキの確認

ソーチェンにチェンオイルが十分に供給されている事が確認出来たら、アクセルをふかしてソーチェンが駆動している状態で、チェンブレーキを手動で作動させてみて下さい。ソーチェンが一瞬で止まる事が確認出来ればOKです。
必要に応じて、加速→ブレーキ作動を行い、ブレーキがしっかりかかる(ソーチェンがしっかり止まる)事を確認して下さい。

 

シーズンイン時点でよく起こる不具合事例

シーズンインでなくても不具合は起きますが、ここでは長期保管後の使用再開時によくあるパターンを検証してみましょう。

エンジンが始動しない

・まずは燃料を確認しましょう。昨シーズンの燃料をそのまま使っていませんか?
長期保管前に燃料を抜くのを忘れてしまったケースでは、キャブレター内部の燃料成分が濃縮、場合によっては固形化することで、キャブレター内部の通路を詰まらせてしまうことがあります。
この場合は、キャブレターのオーバーホールが必須になりますが、単純な洗浄だけでは回復しないこともあります。
ダイヤフラム類も、必要に応じて交換します。その際は、ガスケット類も同時交換が基本です。
ここまでやっても回復しない場合は、残念ですがキャブレター交換です…。次回はちゃんと、燃料を抜いて保管しましょう!

・スパークプラグを確認しましょう。といっても、保管前にチェックしてあれば、基本的に状態は変わらないはずですね。ここではプラグキャップがちゃんとはまっているか確認してみましょう。
意外と「実はちゃんとはまってなかっただけ」なんてこともあります。
ただ、スパークプラグがちゃんと締め付けられているかは、併せて確認しましょう。

・マフラー出口を確認しましょう。保管中に、虫が卵を産んで塞いでしまうことがあります。
保管場所にもよりますが、例えばレンタル機をバックヤードに長期保管しているような状況だと、実際よくあるケースです。確認しておいて損はありません。

 

チェンオイルが出ない

・保管中に固形化したチェンオイル成分で通路が塞がれているようなケースでは、通路に詰まった異物を排除すればOKです。
清掃後は、すぐにチェンオイルが吸い上がらないことがありますので、少し長めに吐出点検をしてみましょう。

 

アイドリングでチェンが回ってしまう

・エンジン回転数を確認し、正しくアイドリングの基準値付近になっているようなら、クラッチなどの駆動系部品の不具合です。錆びて固着している、あるいはスプリングが伸びきっているといった不具合がないか確認しましょう。

・エンジン回転がアイドリングの基準値よりも高い場合は、オイルシールやマニホールドといったゴム系部品の劣化や破損による二次エアの吸い込みが考えられます。
また、必要な量の燃料がキャブレターに吸い上げられないため、結果としてエンジンに供給される燃料が少ない=空燃比が薄くなる事象が起きている可能性も考えられます。
ゴム系の部品に劣化や破損がないか、燃料フィルターの詰まりやホース類の屈曲、詰まり等がないか、それぞれ確認しましょう。

 

吹けない、加速しない

・再度、燃料フィルター/エアフィルター/スパークプラグを確認してください。
可能なら、新品に交換しましょう。

 

メンテナンスの基本は「清掃、洗浄、交換」です。
清掃してキレイな状態にすると、傷などに気が付きやすくなります。
洗浄することで、摩耗や劣化を確認することもできます。
定期的な消耗品の交換は、その他の部分の異常摩耗や劣化を防ぎ、故障を未然に防ぎます。
こまめなメンテナンスで、機械をいつまでも元気に使えるようにしましょう。