まずは電気のキホンから
バッテリーが持つエネルギーの大きさは、電圧と電流のかけ算で計算できます。 ・出力=電圧×電流 実際には、その他にもさまざまな要素があって、この計算式だけで正確に言い表すのは難しいですが、ここでは概ねこういうものだと思ってください。この計算式に従って、ちょっと計算してみましょう。 例えば、電圧:36V、電流:50Aを流せるバッテリーでは、 ・36V×50A=1,800W のエネルギーが出力できる計算になります。 通常、バッテリーは使っているうちに電圧が下がってきます。電流も下がってきます。当然、バッテリーが出力できるエネルギーも、徐々に低下していきます。 ここでは仮の計算なので、とりあえず電圧だけ下げて計算してみましょう。 例えば、充電量が減って30Vしか電圧を出せなくなると、 ・30V×50A=1,500W に下がってしまいます。おおむね17%の出力ダウンです。 このように、単純なバッテリーでは電圧の低下=パワーの低下となり、使っているうちにどんどんパワーダウンしてしまいます。 | ||
STIHL のバッテリーツールは、バッテリー充電量が減ってきても出力はそのままを維持!
STIHL のバッテリーツールに使用される「リチウムイオン電池」は、バッテリーの充電量が減って電圧が下がってくると、電流を上げて一定の出力を得られるように制御しています。
その結果、パワーダウンを感じることなく、常に快適な作業ができるようになっています。 ここで、「アレ?電流も下がるはずなのに、どうやって電流だけ上げるの?」と思ったアナタ。なかなかするどいですね。 下がった電流を、充電以外の方法で上げる...これはちょっと大変そうです。しかし、「もともと高い電流を出す能力があるのだけれど、今まで制限していました」としたら、どうでしょうか。 例えば、実は元々60Aの電流を流せる能力があるのだけれど、電圧が高いうちは電流を抑えて出力し、電圧が下がってきたら電流を徐々に解放していく...というやり方なら、そんなに難しくなさそうです。試しに計算してみましょう。 仮に30Vまで電圧が低下しても、60Aの電流を流す能力があれば、計算上は ・30V×60A=1,800W となり、出力値は最初の計算と同じになります。これなら、充電量が減っても出力は下がらないで済みますね。 この制御のおかげで、バッテリーの充電量がなくなる(正確には、計算上100%の出力を出せなくなる電圧/電流まで低下する)直前まで、快適に作業が続けられるのですね。 実際には、この計算通りにはいかない部分もありますが、仕組みとして「電圧と電流をバランスよくコントロールして、出力を一定に保つようになっている」と理解していただければ良いかと思います。 この電圧/電流コントロールは、作業中にも効果を発揮しています。 例えばチェンソーでは、木の太さで伐るときの負荷が変わります。こういった負荷の変化にも、電圧と電流を適切にコントロールして対応することで、バッテリーの消費を抑える役割も果たしています。 なお、一部のバッテリーツールでは、 「推奨バッテリーと組み合わせることで、100%の能力を発揮する」 制御が行われています。 ※例:MSA 220 C-B+AP 300 S バッテリーの組み合わせなど。 |
そのため、これらのモデルは推奨ではないバッテリーを使うと、100%の能力を発揮できませんので、注意してください。
STIHL バッテリーツールを常に100%の状態で使用するためには、必ず推奨バッテリーと組み合わせるようにしましょう。