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農閑期の今だから挑戦したい! チェンソーを使った”薪づくり”

「アグリジャーナル」(2020/02/10)記事より転載

多くの生産者にとって農閑期となる冬季にこそ挑戦して欲しいこと……それがチェンソーの有効活用だ。今回は、チェンソーを用いた薪づくりをご紹介しよう。

暖炉や薪ストーブの燃料となる
薪を自作してみよう

冬になると、燃料として薪を活用するという人は、意外に多い。今、薪を燃料とする暖炉や薪ストーブが、環境に優しいという点で密かに人気を集めており、ほかにもピザ釜・薪風呂といった日常生活や、キャンプなどのアウトドアで薪を活用する人も増えている。

そこで今回は、薪の作り方を紹介してみたい。

薪に適した樹木とは?

まず、薪に適している木とはどのようなものか。一般的には、カシ、ナラ、ブナ、クヌギといった広葉樹。これら広葉樹が入手できれば最高だ。比重が重いから良質な薪になる。

だが、針葉樹が使えないというワケではない。針葉樹は比重が軽くて木質が軟らかく、すぐに燃え尽きてしまうという欠点こそあるものの、火付きが良いという利点がある。そのため、燃やし始めにはしっかり乾燥させた針葉樹が向いている。基本的には、どんな樹木であっても、後述する乾燥工程さえ正しく行えば、薪の原木として利用できる。

薪ストーブや暖炉の愛好家は、原木ごとに異なる香の違いを楽しんでいる。特に、桜は香りが良く人気が高いのだとか。試してみてほしい。

原木の入手方法は?

薪を作るには、材料となる原木を入手する必要がある。郊外在住で手近な所で原木が手に入るならば問題ないが、そうでない場合はどうするか?

まずは、『日本暖炉ストーブ協会』のウェブサイトを見てみよう。地方自治体等が街路樹や公園等で伐採した木を提供している場合があるのだが、同協会は国交省と協力して、その情報をウェブサイトで発信している。これを利用すれば、高確率で原木を入手できるはずだ。

次に可能性が高いのは、営林署や森林組合だ。間伐材を購入したり、場合によっては無償でもらえることがあるかも知れない。

郊外在住者であれば、近所の果樹園などに聞いてみるのも良い手だ。果樹園では定期的に木を伐っているが、基本的にはそれを廃棄している。引き取ってくれるならと、喜んで譲ってくれる場合が少なくない。

いずれも自分で引き取りに行くのが基本だ。量にもよるが、必要であれば軽トラックを借りるなどすると良いだろう。

薪づくりの第一歩、玉切りに挑戦

薪づくりの最初に行うのは玉切り。暖炉や薪ストーブに入る長さに丸太を切断することを、玉切りという。ここでチェンソーが活躍する。自分が利用する暖炉・薪ストーブに適したサイズに切断しよう。

丸太を地面に置いたまま切断すると身体に負担を掛けるだけでなく、ソーチェーンが地面と接触して刃こぼれの原因となる。専用品の”馬”を利用するのがベストだ。なければ作業台を用意するなどして、環境を整えて作業してほしい。

玉切りで使うチェンソーは、住んでいる環境、それに入手しやすい原木のサイズに応じて選ぶと良いだろう。

別荘地や住宅街の近くでチェンソーを使うなら、コードレスのバッテリー式か、コード付きの電動式を選ぶと良いだろう。近年は騒音トラブルが増えているが、バッテリー式や電動式ならばそれとは無縁だ。

防護用品で身体を守るべし!

チェンソーを利用すれば、人力+ノコギリでの作業と比較して、遥かに作業効率は上がる。だが、動力の助けを借りる以上、どうしても危険はつきものだ。そこでチェンソー利用時の約束事として、ゴーグル、イヤマフ(耳栓)、グローブ、チャップス(防護ズボン)といった防護用品を身に付けてほしい

薪割りは斧で行うが、チェンソーを使う場面も!

玉切りを終えたら、次は縦に割る=薪割りへと進む。薪割りでは、薪のサイズ(各辺の長さ)を大中小と、異なる大きさで作っておくと、使うときに便利だ。大きな薪ばかりでは着火が難しくなる。枝や細いサイズ(辺の長さ6cmほど)の薪を用意しておくと、着火時に重宝する。

薪割で使用するのは斧にも、大中小のサイズがある。自身の体力と必要とする薪のサイズに応じて選ぶと良いだろう。

あると便利なのが、楔(くさび)だ。斧の刃が単体となったような製品だ。薪割りをする原木にコブや捻じれがあったら、これを打ち込む。あるいは、チェンソーで小口面(玉切りした丸太の断面)に切れ目を入れてあげれば、捻じれやコブがあっても上手く割ることができる。

薪棚で1~2年かけて乾燥させる

冒頭で「農閑期だから薪づくりを!」と説明したが、実は薪づくり作業も、秋から冬に掛けて行うのが理想だ。樹木の伐倒や剪定は冬季に行うことが多い。そのため薪の材料となる原木が手に入りやすい。

また秋から冬は木の含水率が下がる。薪割りをした後、乾燥を行う。この乾燥工程を考慮すると、秋~冬が薪づくりの適期なのだ。

11月に薪割りをしたら、乱積みにして(日当たりの良い場所に井桁状に積み上げておくこと)、通風を良くして乾燥させる。この状態で春まで放っておく。愛好家はこれをアク出しと言う。

アク出しを怠ると、木に含まれた水分が原因となってカビが発生してしまう。4月になったら乱積みしていた薪を薪棚に積む。最低でも冬まで、できれば1~2年、薪棚で乾燥させることで、薪ができあがる。

乾燥の目安は含水率20%以下。慣れた人ならば、小口面に切れ目が入る、といった薪の状態を見て判断できるが、最初のうちは含水率計を用いると良いだろう。

自分に適したチェンソーを選ぼう

今回は、チェンソーを用いた薪づくりを説明したが、実はチェンソーは様々な用途で使うことができる。都市部に近い生産者は、チェンソーを用いて、カービングや木製プランターの制作など、チェンソーを思い思いに楽しんでいる。

これらの作業を実行するのに適したチェンソーとは、どんな製品なのだろうか? その選び方を簡単に説明しておこう。

まずは、自分が行う頻度の高い作業を明確にしておくこと。果樹農家や太い木を伐倒する機会が多いなら、排気量が大きくて高出力、そしてガイドバーが長いモデルが最適だ。

逆に、細い木を切る程度で半分は趣味という方なら、排気量と出力は控え目で良く、軽量なモデルを選べば取り回しが良い。排気量=出力とガイドバー長、それと重量が、チェンソー選びの重要なポイントだ。

またチェンソーを使用する場所も考えておくべきだ。住宅地に近いなら、バッテリー式や電動式を選べば騒音問題から解放される。絶対的におススメしたい。

騒音が気になる、
軽量を求める方にも最適!
バッテリー式チェンソーの決定版

MSA 120 C-B
AK20(バッテリー)、AL 101(充電器)付、ガイドバー 30cm
希望小売価格¥39,800(税別)

エンジン式チェンソーの世界シェアNo.1ブランドであるSTIHLだが、コードレスのバッテリー式もラインナップしている。住宅地付近での作業が多く騒音が気になる方には最適なモデルが『MSA 120 C-B』だ。

重量はわずか2.5kg※1と超軽量。ガイドバー長は30cmだから、直径20cm程度までの樹木を伐倒できる。

本モデルが属する「コンパクト plus」シリーズはバッテリー2個を標準装備している。一つを使い切っても、すぐに充電済のバッテリーと交換できるから、長時間の連続使用も可能。バッテリー式チェンソーの決定版と断言できる名品だ。

※1 バッテリーを含まない、バー&チェンを含む質量。

シンプル&リーズナブル!
電動式チェンソーの入門に最適

MSE 141
ガイドバー 30cm
希望小売価格¥20,000(税別)

「バッテリー式は魅力だが、『MSA 120 C-B』はお値段が……」という方におすすめしたいのが、コード付き電動式チェンソー『MSE 141』。騒音対策に最適な電動式、そして過不足ない性能を有したモデルだ。

クイックストップSチェンブレーキ、サイドチェンテンショナー、半透明窓付きオイルタンク、過負荷保護などの安全で使いやすい機能を標準装備している。

重量は4.1kg※2と、『MSA 120 C-B』と比較すると重くなるが、一般的なエンジン式モデルと同等程度。推奨ガイドバー長は30cm。出力は1.4kW。中径木まで対応できる。

※2 ケーブル、チェンオイルを含まない、バー、チェンを含む質量。

最初の1台ならコレ!
初心者も安心なエントリーモデル

MS 170
ガイドバー 30cm
希望小売価格¥ 20,000(税別)

STIHLが推奨するエントリーモデルのエンジンチェンソーが『MS 170』。お求めやすい価格の本モデルは、庭木の手入れ、雑木の整理など、これからチェンソーで作業を始める初心者ユーザーはもちろん、既にチェンソーを使用しているプロフェッショナルユーザーの2台目としても重宝しそうだ。

エンジンの排気量30.1㎤だが、驚くべきは、その出力。1.3kWという高出力を誇る。重量も3.9kg※3と、エンジン式チェンソーとしては充分に軽量。推奨ガイドバー長は30cm。直径20cm程度までの樹木を伐倒できる。

無理なく太めの木を切りたいなら
上級エントリーモデルがおススメ!

MS 210
ガイドバー 35cm
希望小売価格¥34,000(税別)

『MS 170』よりガイドバー長が5cm長い35cm。排気量も35.2㎤に拡大されて出力1.6 kWとされているのが『MS 210』。多少太目の木を余裕を持って切ることが可能。エンジンチェンソー・エントリーモデルの上級版といった位置づけだ。

ほぼプロ仕様の『MS 230』と同じく、ツールフリータンクキャップとエラストスタートを標準装備している。高出力化、高性能化されたモデルだが、それでも重量は4.4kg※3。バランスのとれた1台と言えよう。

ほぼプロ仕様な高性能・高機能モデル。コストパフォーマンスにも優れた1台

MS 230
ガイドバー 40cm
希望小売価格¥39,000(税別)

中径木の伐採や薪作りなど、パワーやトルクを必要とする作業に最適なエンジンチェンソーが『MS 230』。

排気量は40.2㎤、出力は2.0kWと圧倒的なハイパワーが自慢。それだけの力があるからガイドバーは余裕の40cmを装備する。

装備も充実しており、工具なしでチェンオイルタンクキャップや燃料タンクキャップの開閉が行える便利なツールフリータンクキャップ、さらに、エンジン始動時のエンジン圧縮による衝撃をやわらげるエラストスタートも標準装備。スターターハンドルのスプリングやゴムにより、作業者の関節や筋肉の負担を抑えてくれる。

ほぼプロ仕様と言いたくなるほどの高性能・高機能モデルだが、重量は4.6kg※3と軽量。コストパフォーマンスも抜群だ。

※3 燃料、バー、チェンを含まない質量。